脈拍を測る女性とミカルディスの写真

降圧剤と脈拍数の関係

脈拍数から見る降圧剤には「脈拍数を上げるもの」「脈拍数を下げるもの」「脈拍数が変わらないもの」と大きく3種類あります。脈拍数の高い高血圧の方は脈拍数を少なくする降圧剤が選ばれます。

脈拍数で選ぶ降圧剤について

降圧剤には様々な種類のものが存在します。
カルシウム拮抗薬(アダラート、ノルバスクなど)、ARB(ブロプレス、ディオバンなど)、ACE阻害薬(レニベース、タナトリルなど)、β受容体遮断薬(テノーミン、アーチストなど)、利尿剤(フルイトランなど)があります。
これらにはそれぞれの特徴があり、患者さんの状態に応じた薬剤を選択し、高血圧の治療を行うことが重要です。
高血圧症は、肥満や塩分摂取過多など生活習慣が発症に影響することが多く、そのため糖尿病や脂質異常症など他の疾患を合併することも多いです。
ここでは脈拍数に応じた降圧剤の選び方について解説します。
まず脈拍数とは通常1分間に心臓が血液を拍出する回数のことをいいます。
脈拍数は1分間に60~100回が正常の範囲と言われており、これより多いと頻脈、これより少ないと徐脈ということになります。
通常、男性では65~75回、女性では70~80回が一般的と言われています。
脈拍数に影響を与える降圧剤はカルシウム拮抗薬とβ受容体遮断薬です。
カルシウム拮抗薬は細胞内外の電位差の変化に影響するため、房室伝導速度を遅延させます。
またβ受容体遮断薬は交感神経系に作用して房室伝導速度を遅延させます。
頻脈傾向の方にはカルシウム拮抗薬やβ受容体遮断薬は脈拍数を減らす好影響が得られます。
しかし徐脈傾向の方にはさらに脈拍数を減らしてしまう効果があるため徐脈を悪化させてしまいます。
よって、徐脈傾向の方にはカルシウム拮抗薬やβ受容体遮断薬以外の薬を選択することが望ましいです。
ARBには心臓の保護作用があるので心臓に優しい薬で、心疾患のある方にはいい薬です。
また心臓の働きが悪く、浮腫がある場合には利尿剤を使用することもあります。

血圧を下げる降圧剤の効果と注意事項

高血圧と診断されてしまった場合には治療薬を用いた治療が開始されます。
その治療薬は降圧剤であり、高くなってしまっている血圧を正常域に安定させることが目標として定められていくことになるのが基本的な治療方針です。
降圧剤を使用することは高血圧を根本的に治療するということにはつながらないため、原因となっている基礎疾患の治療や生活習慣の改善による治療が並行して進められることになります。
根本治療にならないのに降圧剤が使用されるのが基本の治療方針となっているのは、降圧剤を用いることによって合併症のリスクを下げることができるからです。
高血圧の状態というのは血管や心臓、腎臓などの諸器官に大きなストレスを生むことになります。
それが原因となって動脈硬化や心不全、腎不全などの合併症を起こしやすくなってしまうのです。
動脈硬化は全身で起こりうるものであり、血管閉塞や出血のリスクを高めます。
それが脳でおこれば脳卒中になり、心臓で起これば心筋梗塞になるといったように死亡リスクのある疾患を合併する危険があるのです。
こういったリスク回避のために用いられるのが降圧剤であり、それゆえに基本の治療方針となっています。
しかし、降圧剤による治療は長期化する可能性が高いことから、副作用についての懸念を持つように注意しなければなりません。
軽微な副作用もそれぞれの降圧剤に特徴的なものが知られていますが、長期間にわたって使用することによって稀な副作用が生じてくるリスクも高まります。
肝臓や腎臓、血液系などの重篤な副作用が知られているものもあり、そういった副作用が生じないかをよく観察していくことが大切です。
長期戦になりがちな高血圧治療だからこそ留意しなければならない注意事項です。

病院で処方されている主な降圧剤

高血圧の治療の歴史は古く、数多くの治療薬が昔から現代に至るまで開発されてきています。
高血圧の治療の基本方針として降圧剤を用いて血圧を正常域にコントロールするというものがあり、病院で高血圧の診断を受けたほとんどの人が降圧剤を処方されることになります。
病院で処方される降圧剤として現在ではカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン2受容体拮抗薬といった種類のものが主流になっています。
カルシウム拮抗薬は特に頻繁に処方される降圧剤です。
その理由として大きいのは慣例によるものであり、使用されてきた歴史も長く、医療現場での使用経験が多いためです。
使用経験が多いために、患者に応じて投与量を設定したり、副作用が生じた際にとるべき対応がわかりやすかったり、効き目が悪いときにどの薬剤の併用を考えたら良いかというのが明確だったりと、医師にとって都合のよい点が多いのです。
また、高血圧治療のために用いるということに主眼を置いて開発されたものが多いため、一日一回以下の投与で良い長時間作用型となっているため、患者への服薬指導もしやすく、コンプライアンスもよいのがメリットとなっています。
カルシウム拮抗薬は副作用も比較的少なく、長期使用によるリスクも少ないことが経験的にわかっているため、最も処方されやすい降圧剤としての位置を占めているのです。
これに対して、急激に処方されることが増えてきているのがアンジオテンシン2受容体拮抗薬です。
比較的新しい降圧剤であるアンジオテンシン2受容体拮抗薬は数々の臨床試験の実績によって、生活習慣病患者に多い腎機能に良い効果を示すことが示されてきていることが使用頻度を高めている大きな理由です。
目立った副作用もないことから使い勝手がよい降圧剤として注目されています。